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丑と牛
もぅ〜、60年も前のお話しです。おおよそ荷台が、半間×1間半位で深さは2尺位の大きさです。それに瓦の材料となる粘土を満載して採取先の山から約半時間の道のりを、一日に何回か往復するのです。なぜか牛が曳いているのに、その荷車のことを「馬力(ばりき)」といい、操っている人を「馬子」といいました。
その馬力の荷台後方の裏には「飼葉桶」といいまして、直径が1尺五寸ぐらいで、深さが1尺ぐらいの桶が吊るされておりまして、まぁ言えば牛の弁当箱ですね。暑い時などには、馬子が水を汲んで牛に与えます、 それはそれは牛が喜んで水を飲むのです。その馬子と牛のコンビネーションの様を羨望の眼差しで追いかけて、やがて自分も大人になったらその馬子のように、牛と共に生きる馬力曳きになるんだと考えていました。ただ一つその馬子は、赤毛の牛を好み、以後何代かは赤毛の牛と暮らしていましが、私は黒牛が好きでした。
さて、牛と人との付き合いは長く、従順な家畜として古くから人に親しまれてきたのには、外観的には何とも言えない丸い優しい目をして、いつものどかに口を動かしていることですね。一旦食べ物を胃に飲み込んで、それを口に戻してゆっくりとしたリズムで噛みなおして食べる、それこそが牛のすぐれた特徴であるとともに仕種に愛嬌があります。牛は自然界に居た頃には足が遅く闘争力に恵まれなかったので、よい草があればとにかく胃袋に仕舞い込んで安全な場所で、ゆっくりと食するという特徴を備えたのですね。このように、牛といえば昔からのんびりしていて、どこか底力を感じさせ、他のどんな動物よりも群を抜いて人間に対して従順な生き物として共生することとなったのですね。
牛にまつわることわざもたくさんあります。その一つに「牛は牛連れ馬は馬連れ」と 似たものどうしは集まりやすいことのたとえとして、また似たものどうしが集まると物事がうまくいくことのたとえがあります。
そこにものんびりさと、時間がかかっても確実に物事をやり遂げるねばり強さが色濃く反映されています。
用語としての、丑と牛ですが、もともと丑は十二支の一つであって、東西南北の方角に「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」と漢字をあてていましたが、十二支を覚えやすくするために、その字に動物をあてはめていったとのことです。しかし、現在の世では何時からそうなったのかはわかりませんが、十二支にあてられた動物が、その年のシンボルとなっているし、誰にも何の異論もないところであります。
今年は、幼少の頃に抱いた将来への初夢であった、牛さんにちなんで勤勉な気持ちで過ごしたいと考える、年の始めです。